皆さまこんにちは!
本日は10月19日(土)にJAXA筑波宇宙センター内にて行われた、第35回モデルロケット全国大会の模様を大会運営委員を行なった篠原が、当日の様子をご紹介いたします。
モデルロケット全国大会は、日本モデルロケット協会(以下JARとします)が発行するモデルロケットライセンスをお持ちの方であれば誰でも参加できる大会です。
1チーム3名までエントリー可能で、1競技につき3名の参加者が参加できます。
今年の競技種目は3種類あり、当日開催された競技種目順に『パラシュート滞空時間競技』『高度競技』『パラシュート定点着地競技』があります。
*『参考(競技種目の概要について)』*
・パラシュート滞空時間競技は、モデルロケットの回収装置してパラシュートを装着した機体を用い、打ち上げから機体が接地するまでの時間の長さを競う競技。
・高度競技は、モデルロケットが打ち上がった最高高度の距離を競う競技。
・パラシュート定点着地競技は、ロケットを打ち上げる発射台の近くに設置されたポイントに、打ち上げ落下した機体がいかに近づくかを競う競技。今回の大会から新しく設定された競技。(なお、今回使用する機体はエステス社製アルファⅢ®︎に限りました。)
競技規則やその他詳細についてはJARのホームページ上の記載を参照ください→https://www.ja-r.net/rocketmeeting.html
当日は朝から雨が降る展開でしたが、全国から150名を超える競技参加者が集まりました。
朝8:00から行われた機体検査ではバリエーションに富んだ機体が見られ、皆さんレギュレーションギリギリに詰めた機体を持参されていました。
残念ながらレギュレーションを通らなかった機体もありましたが、協会が運営する改修部隊がおりまして、そちらで改修の上、再度機体検査を行い競技に参加することが可能です。
検査に時間がかかってしまい、当日の予定を40分程度超えてのスタートとなりました。
最初の競技であるパラシュート滞空時間競技は、スタートから雨が降りしきる展開でした。
競技中盤になって雨は止みましたが、選手にとって非常に困難な展開だったと思います。
地上付近に比べ上空の風が強い、というような状況も見られ、機体のバランスが崩れやすいロケットを製作しているチームは苦戦を強いられているようでした。
このような状況であったため、ロケット打ち上げの経験を積んだ選手たちが有利であった競技だと思います。
40秒程度滞空していた機体もあり、優勝争いに大きく関わっていました。
パラシュート滞空時間競技が終わった時点で12時を過ぎており、お昼休憩とデモンストレーションを挟み午後の競技が開始されることになりました。この時点で雨は止み、微風が吹くようなコンディションになりました。
次の競技である高度競技は、コンディションも良かったためか非常に僅差での戦いになりました。
打ち上がる機体もパラシュート滞空時間競技の時よりまっすぐ飛ぶ機体が多かった印象です。
高度的には80m付近まで飛行する機体があったようで、優勝争いはその辺りまで飛行した選手たちのチームで競われたようです。
最終種目の定点着地競技は、素晴らしい記録がたくさん出ておりました。
この種目は初心者が1番最初に作り上げる機体を使っての種目で、初心者の方でも十分優勝できるように設定された種目です。
基礎的な打ち上げがしっかりできること、風を読んで打ち上げることができることの2点が優勝のカギになります。
それができたらあとは運任せになりますが、だれでも優勝のチャンスがある種目ということで特に盛り上がりを見せておりました。
一番いい記録はポイントからの距離が7cmという記録で、運営委員の間でも驚きがありました。
全ての競技が終了した時点で17時近くになり、最後の表彰式では車のライトも使って行われました。
表彰には、各種目での上位チームの表彰や女子学生チームの上位を表彰するロッキードマーチン賞、高校生チームを表彰するロッキードマーチン奨励賞、JAXA理事長賞、年間総合優勝があります。
今回大会の総合優勝は、社会人チームの『設計屋さんとカメラ屋さん』チームでした。
高校生の時からモデルロケット大会に出場しているご兄弟のチームで、さすがといった印象です。
(兄とは2006年にバイコヌール宇宙基地で行われたモデルロケットの世界選手権大会で日本代表チームの選手として一緒に戦いました。)
そして前回の第34回大会の記録と今回の大会の成績で競われる全国年間総合優勝は、鹿児島県立楠隼中学校(楠隼高等学校と記載していました。訂正してお詫びいたします。)から出場されているチームでした。
私の記憶ですと昨年から出場されている学校で、初参加の時からレベルの高い機体を持参されていた印象でした。
(私たちが制作したトロフィーも贈呈されました!)
上位に入賞できたチームの皆さん、本当におめでとうございます。
総じてみて、昨年の同時期に行われた第33回大会よりレベルが上がっているように見受けられました。その大会の時に初出場であったチームや選手が経験を重ねて成長している姿が見られ、私個人としてはとても嬉しく感じました。
今回初出場であったチームも今回の大会を糧にして経験を重ね、レベルアップをしていって欲しいです。
良い成績を収めることはもちろん素晴らしいことですが、うまくいったこともいかなかったことも、何が影響してそのようになったのかを考えてみることが大事だと思います。
そして、一生懸命やってきた思いは確実にこれから役立つと思いますし、しばらくして良い経験だったと思えるときに繋がると思います。
今年のモデルロケットイベントはこれで終わりになりますが、来年も全国大会やロケット甲子園、ロケットランチなどが開催される予定です。
また会場で皆さまにお会いできることを楽しみにしています。
なお、当日の様子はニコニコ生放送やYoutubeで放映されました。
Youtubeでは当日の様子がアップロードされご覧いただけるようですので、ご興味ある方はご覧いただければと思います。
YoutubeのURLはこちら→https://www.youtube.com/watch?v=HCJPpfSj560